好酸球性食道炎とは?
食物などが抗原となってアレルギー反応がおこり、白血球(中でも好酸球)が消化管に非常に多く集まり慢性的に炎症を引き起こす病気です。
胸のつかえ感の主訴が最も多いです。頸をしめられている感じがするという主訴もあり、逆流性食道炎あるいは咽頭喉頭逆流(LPRD)との鑑別が必要となります。
好酸球性食道炎の診断
内視鏡診断と病理検査(組織学的に有意な好酸球浸潤15個/HPF以上)を行うことが必要になります。
逆流性食道炎の診断と診断されていた方の、1~8%に好酸球性食道炎が発見されたという報告があります。
そのため、内視鏡専門医のライセンスをもっている施設で内視鏡検査をすることをおすすめします。
<症例1>
中年男性、毎年他院で任意型内視鏡検診を施行していたそうです。今年は当院で検査を希望され受診されました。
以前から、時々胸のつまる感じを自覚していたようですが、内視鏡では異常がないため、様子を見ていたようです。


①軽度のツブツブした白色滲出物あり ②軽度の縦走溝(縦方向に伸びる溝) ③軽度の輪状溝(ドーナッツ状のヒダ) ④粘膜浮腫(正常粘膜では、木の枝の様な血管がうっすら観察されます。)
以上、上記の所見を認め、生検施行。診断基準をみたし、好酸球性食道炎の診断となりました。
治療は、PCAB(制酸薬)のみでコントロール良好となっております。
<症例2>
中年女性、他院で数ヶ月前に任意型内視鏡検査をし、異常なしの結果。
明らかに食事が飲み込めなくなったため、当院で内視鏡検査の方針となりました。


症例1と比べて、より所見が目立つのがわかると思います。
①高度のツブツブ状の白色滲出物あり ②高度の縦走溝(縦方向に伸びる溝) ③高度の輪状溝(横方向) ④粘膜浮腫(血管透見消失)
治療は、制酸薬で改善なく、ステロイド導入で改善、コントロール良好となっております。
好酸球性食道炎の治療
食物アレルゲンの特定と除去食の有用性が推奨されております。
しかしながら、アレルゲン検査の同定に至らない症例も多々経験しております。
View39検査(主要アレルゲン39項目を採血で検査可能)を当院では全例で検査しております。
アレルゲンの特定自体が難しいため食事療法は現実的でなく、薬物治療が主体となります。
薬物療法は
①PPI/PCABによる制酸薬の投与で効果判定
②無効症例では、ステロイド療法を選択します。
ステロイドと聞くとあまりいい話を聞かないかもしれませんが、アレルギー膠原病の治療ではかかせない薬剤となります。
ステロイド長期使用の副作用を説明した上で当院では治療開始します。
また、ステロイドの内服を中止すると再燃する症例があるため、元気なうちは内服継続指導となります。
有症状であるにも関わらず、治療をせず経過すると、食道狭窄(経口摂取不能)へ進展(つまり入院)する可能性があるため注意が必要です。
消化管症状があるのに、内服治療で改善しないという方は、是非当院へ受診をご検討してみてください。