好酸球性胃腸炎(難病指定)

この病気は、好酸球とよばれる細胞(アレルギーに関連する細胞)が、胃・十二指腸・小腸・大腸で慢性炎症を誘発する病気です。

腹痛・下痢・嘔吐などの消化器症状を認めます。

内視鏡による生検(粘膜をつまんでくる)により、20/HPF(強拡大:1視野あたり400倍で観察したときの好酸球の数)以上の好酸球浸潤を認めることで、診断に至ります。

アレルギーとの関連が示唆されるため、当院ではView39(一般的なアレルギー39項目)の測定も併用しています。

治療は、制酸薬(当院ではPCAB)・ステロイドで寛解期(炎症コントロール良好な状態)へもっていくことあ可能です。

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<症例1>

中年女性、長年続く繰り返す心窩部痛で受診されました。

他院で内視鏡検査は施行済みで、機能性胃腸症(ストレス由来)の診断ではありましたが、投薬で改善されていなかったようです。

そのため、いくつか疑われる病気を説明したうえで、再度胃カメラをしていただく方針となりました。

前庭部の一部に、血管透見消失部位(画像の7時方向)が広がっており、好酸球性胃腸炎疑い、生検をしました。

病理結果により、好酸球性胃腸炎が確定した一例です。

本症例は、投薬にて症状は軽快、時々くる強い痛みにはプレドニン5mg(ステロイド)内服で日常生活を過ごすことができております。

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<症例2>

中年男性、初診時の内視鏡検査でピロリ菌の現感染がみつかり、ピロリ菌の除菌療法を施行しました。

しかし、その後も胃痛・胃部不快感が遷延しているため、機能性胃腸症として治療を切り替え、投薬開始となりました。

本症例は、機能性胃腸症に対する投薬を行うも改善なく、いくつか疑われる病気を説明したうえで、再度胃カメラをしていただく方針としました。

除菌後の胃粘膜変化を呈している所見が観察されました。

一方で、静止画では伝えにくいのですが、オンタイムでの画面では違和感を感じるみずみずしさを呈しておりました。

複数箇所生検を行い、好酸球性胃腸炎の診断に至った症例です。

その後、制酸薬(PCAB)で改善がみられず、プレドニン5mg(ステロイド)内服で症状改善に至りました。

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<症例3>

20代男性、食後の嘔気で受診されました。

上部内視鏡検査は他院で施行済み、その際、病名はないといわれたようで、投薬無しで様子をみていたようです。

自分でインターネットを活用し、機能性胃腸症の病気にたどり着いたようで、アコファイド内服を希望され受診されました。

病名は自分でリサーチ済みということもあり、内視鏡検査への同意がなかなかとれない状況でしたが、いくつか考えられる病気を説明したうえで、納得していただき内視鏡検査を受けていただきました。

病理結果は、好酸球性胃腸炎の診断となり、投薬(プレドニン)で改善した症例です。

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3症例ともに多彩な内視鏡像であることがわかると思います。

胃痛・胃部不快感の改善がみられない際は、お気軽にご相談ください。