大腸の解剖学は若干の個人差があります。
年齢であったり、性別、下剤使用歴の有無により、大腸ヒダの深さが異なります。
ヒダが深い部位では、順方向観察で病変を見落とす可能性があります。
当院では、可能な限り前例で、上行結腸(ヒダが深い部位)の反転観察を行い、工夫しています(難しい操作になりますが)。
実際の症例を提示します。
下剤使用歴のない、中年女性、上行結腸にヒダ裏病変を見つけ、その場で一括切除した症例です。
①上行結腸で反転観察。
②イメージ図
③内視鏡的一括切除し、創部を医療用クリップで完全縫縮。
病理結果は、早期大腸癌の診断でした。
ヒダ裏に隠れた腫瘍は、見逃されると、数年後には内視鏡で切除困難となる症例も存在します。
ポリープ(良性腫瘍)から癌へ移行する前に、切除する必要があるということです。
”見逃さないようにする嗅覚” ”教科書には書いていないテクニック” が重要となっていきます。