抗血栓薬2剤内服中に出血した大腸血管拡張症の一例

ご想像の通り、抗血栓薬2剤内服中の患者は出血すると止血困難なことが多いです。

今回提示する症例は、他院で貧血の進行があるも鉄剤内服のみで対応されていました。

貧血の進行と、血圧の低下を認めたので、当日、洗腸浣腸を前処置とし、緊急止血術を施行しております。

鉄剤内服に伴い、便も真っ黒で、視野不良な状態。この視界の中、洗いながら出血部位を探していきます。

ジェット(内視鏡に付属された水洗ジェット)で、黒い便を剥がしていくと、出血点を確認。

この血管拡張症は、小腸出血のこともあれば、大腸出血のこともあります。小腸出血の場合は、総合病院へ紹介し、小腸鏡(通常の大腸カメラより更に長いです)を用いた検査・治療が必要になります。

当院では、新型内視鏡を駆使し、持ち前の忍耐力で出血源を探し出します。この出血を放置すれば、命に関わるからです。

また貧血は、鉄剤を飲めばいいという先生がいますが、この患者は鉄欠乏性貧血ではなく、腎性貧血であることが判明しております。

抗血栓薬2剤内服は継続のため、今後も出血が起こりうることから、腎性貧血に対する治療”ダーブロック”内服に変更しております。(また鉄を飲むと、出血時、出血点を探すのが大変でもありますので)

血便が出た際は、当日大腸検査が可能な当院へ是非受診してください。