大腸憩室は、様々な理由により、大腸に小部屋を多数作ってしまう病気です。
日本では、大腸憩室の保有率は増加しており、それに伴い、憩室炎や憩室出血が増加しています。
<憩室出血の特徴>
①70〜90%で自然止血するため、大腸カメラ挿入時、すでに出血は止まっている。
②再出血率が20〜40%と高い。
③憩室出血を疑ったら、大量の便とコアグラ(血糊)の中から、責任憩室(出血源)をみつけなければならない。
④勢いのある動脈出血の場合、輸血が必要になるほど出血する。
つまり、内視鏡に時間をかけて出血源を探すもみつからず、後日再出血(例えば、入院管理なら、入院中複数回出血したり、退院日に出血したりし、患者との信頼関係が悪くなることも・・・)する、いわば良性疾患でありながら、悪性的な要素をもちあわせている病気です。
今回は、当院で採用している最新型内視鏡(オリンパスEVIS X1)を使用し、RDI(出血源検索モード)モードを使用し、憩室出血に対して止血成功した一例をご紹介します。
3連休を前に、当院の実績を信じて、駆け込んでいただいた症例です。
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大量の便とコアグラ(血糊)の中、盲腸まで挿入すると新鮮血のたまり場がありました。
つまり、責任憩室が近くにある+現在進行系で動脈出血している可能性を示唆する所見です。
患者さんの命がかかる状況のため、入念に1つ1つ憩室を刺激していくと、とある憩室から動脈出血が始まりました。

動脈出血のため、一瞬で内視鏡画面は視野不良となります。
ここから、EVIS X1のRDIモード(出血源同定に役立つモード)の出番となります。

RDIにすると、脈をうちながら吹き出す動脈出血を視認できました。


動脈を高周波を用いて凝固処置を加え、責任憩室を医療用クリップで閉鎖、完全止血が得られました。
”内視鏡検査と内視鏡治療を同時に行うことができる点” が当院の最大の魅力です。
そして、その内視鏡治療の実績と経験数で、多くの命を救ってきました。
憩室出血の場合、ほとんどのクリニックは止血困難で、総合病院へ救急搬送を選択します。
消化器症状で困った!すぐにでも助けてほしい!そんなときは、まず当院へお越しください。