以前から、色差を利用した微小癌を検出する有用性を当院ホームページで何度もお話してきました。
ついに、ビックデータを用いた研究により、その有用性が証明されたのでご報告します。
①白色光を用いた通常観察とは以下の写真のように、一般に皆さんが思い浮かべる内視鏡写真です。

②TXI(特殊光観察)とは、以下のように、色調や凹凸を自動で強調してくれるモードです(最新のオリンパスの光源に導入された新しい観察モードです)。

※ちなみに画面真ん中に微小胃癌があります。

この論文は、システマティック・レビューとメタ解析の論文です。
システマティック・レビューは、一定の基準をもとに質の高い臨床研究を調査し、エビデンスを適切に分析・統合を行うことです。
メタ解析は、過去に行われた複数の研究結果を統合するための統計解析です。
簡単にいうと、信憑性の高い論文ということになります。
内容ですが、、、
対象:7つの研究(患者数16634名)
結果:
TXIモードは、白色光観察と比較して
①色調鑑別
②視認性スコア
③病変検出率
の3点において、TXIモードが白色光観察より優位な結果となりました。
④さらに、各臓器(咽頭、食道、胃、大腸病変)に関して、TXIの優位性が確認された、と報告しています。
従来型の観察方法では、ピロリ除菌後胃癌や他微小病変をより早い段階で見つけることは困難な時代です。
そのために開発された、NBI/TXIを主体とする特殊光観察を得意とする内視鏡医に、検査をしてもらうことが一番だと思います。是非、当院へお越しください。
さて、最近も、このTXIモードを用いて難病を発見しましたので、ご紹介します。
病名:好酸球性食道炎(EoE)
症状:胸部つかえ感
好酸球によるアレルギー性の慢性炎症を消化管に引き起こす病気を、まとめて”好酸球性消化管疾患”といいます。
①好酸球性食道炎と②好酸球性胃腸炎に分類されます。
内視鏡的特徴は、以前の症例提示していますが、輪状ヒダ・縦走ヒダが特徴です。

これも、白色光観察で発見するより、TXIでヒダがより際立ちますので、輪状ひだや縦走ヒダが視認しやすくなる印象にあります。
もちろん、症状と生検で好酸球20個以上/HPFを認めたので、”好酸球性食道炎”の確定診断に至っております。
癌だけでなく、このような難病もTXIでより正確に診断できる印象にあります(論文学的データはありませんが、今後の報告に期待。)